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TAMA市民塾 第八回【おばけ絵➊補遺】

更新日:8月6日




納涼!『おばけ絵』読み解き 蕪村妖怪絵巻編



前回の積み残し。与謝蕪村の直筆と伝わる珍品『蕪村妖怪絵巻』のご紹介です。


江戸俳諧中興の祖といわれ、俳画の創始者でもある与謝蕪村が丹後の宮津で絵の修業をしていた宝暦4~7年(1754~57)の間に描かれ、寄寓していた見性寺の欄間に張られていたと伝えられています。彩色がほどこされたうつくしいものであったそうですが、残念ながら原典は所在不明とのこと。出典は下記です。


蕪村妖怪絵巻

大阪 北田紫水文庫蔵・刊 昭和三年発行〔非売品〕

東京都立中央図書館収蔵マイクロフィルムより


とても自由な描線でたのしい妖怪絵が描かれています。わたしがとくに好きなのは『猫また』と『真桑瓜』。みなさんも好きな妖怪をみつけてみてください。


では、以下読み解きです(^▽^)



◆猫又  以下、〳〵は表示がおかしいですが複数のことばをくり返す「踊り字」です


榊原どのゝ古屋敷に 夜ナ〳〵猫またあまた出(いで)ておどりけるが のち〳〵ハ人をなやましけるにつき 榊ハらとの家臣稲葉六郎太夫 鉄砲にて向ひけるに 彼(かの)猫またちっともおどろかず 胴ばらをたゝいてこゝをうてと云ければ 稲葉心にくゝおもひ五十目玉を中だめに打けるに 猫又の腹より玉返りして中〳〵打事あたハざりけるとぞ

おれのはらの かわをためして 見おれ にやん〳〵

稲葉六郎太夫


猫又のお約束通り手拭をかぶり「にやんにやん」とうそぶく猫。 カワ(・∀・)イイ!!


本文の末尾『打事あたハざりけるとぞ』の『り』が三本川というか、タテ3本線になってますが、これはここ以外にもたくさん出てくる蕪村特有の書き癖です。本来『り』はタテ2本線でないといけないし、タテ3本線ならそれは通常『つ(川)』なのです…(^_^;)ここでは『り』で読んでます。




◆赤子の怪

小笠原何がしどのゝの座敷に 林一角法師泊まりけるに 夜更て数百人の足音して踊る体に聞えける故 ふすまを押明(おしあけ)うかゝひけるに 数千の赤子あつまりて 一角坊をなやまし 行かたしれず也けるとぞ  

林一角坊


…数百人とか数千とかいうわりに絵には赤子さんたち九人しかいないところがキュート☆

 あと、襖絵がそれっぽくて素敵。




◆ぬっぽり坊主

京かたびらが辻 ぬっぽり坊主のばけもの めはなもなく一ツの眼 尻の穴に有りて 光ることいなづまのごとし


のっぺらぼうの亜種としての蕪村の名づけですが、水木しげる先生が『尻目』とリネーム

なさって、いまはそちらの名前が主流とのこと。雄でも雌でもない…のか(^_^;)?




◆うぶめの化物

出羽の国 横手の城下 虵(じゃ)の崎の橋 うぶめのばけもの 関口五郎太夫 雨のふる夜 此ばけ□の(ばけもの ヵ)に出合 力をさ□□りける(さづかり ヵ)とぞ 其後ゑぞが島合戦の時 甚(はなはだ)手がらをあらハしけるとぞ 佐竹の家中に今にその子孫有


虵は蛇の異体字(漢字の別バージョン)。横手は現在の秋田県横手市であるもよう。佐竹藩では蝦夷=北海道方面で戦をした史実があるのかな。ちょっと調べてみたい。おばけの顔があまりにも漫画っぽくてインパクト大で好きです。




◆銀杏の木の化物

鎌倉若宮八幡 いてうの木のばけ者


鎌倉若宮八幡は、鶴岡八幡宮の元宮、別名由比若宮(元八幡)。鶴岡八幡宮の大銀杏は『鎌倉殿の13人』にもとりあげられた源実朝暗殺事件で大きな役割を果たした(暗殺者がその陰に身を潜めた)けれど、こちらの銀杏にはどんないわれがあったんでしょうね。



◆夜泣き婆

遠州見つけの宿 夜なきばゝ その家にうれいあらんとする時 此ばけもの門口に来り なきけるとなり 人又その声を聞て 思ハずなミだをこぼしけるとぞ かゝること二三度に及びて その家に かならずうれいごと有しと也


「憂い・愁い」を「うれい」と書くのは蕪村の癖。『愁いつつ岡にのぼれば花いばら』という名句もあります。これ、文法的には終止形が「憂(愁)ふ」なので「うれひ」が正解。体系的に整理整頓された明治以降のそれと違って、むかしの人の文法はかなりいい加減です。




◆瓜の化物

山城駒のわたり 真桑瓜のばけもの

大阪木津 西瓜のばけもの


絵が途中から途切れているのはもとの本かマイクロフィルムの仕様ですm(_ _)m

まくわうり、顔がかわいくてお気に入り。こんな感じの顔つきの人いますよね(^^)。

この「山城駒のわたり」「大阪木津」はそれぞれ真桑瓜と西瓜の名産地だったとのこと。

足軽風のまくわうりと二本差しの侍の西瓜の対比も楽しい。



以上、楽しんでいただけたらしあわせです!


 
 
 

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